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胆嚢粘液嚢腫

高齢で、高脂血症を起こしやすいワンちゃんに起こりやすい病気です。高脂血症は、ミニチュアシュナウザーちゃんやシェルティーちゃんのように犬種で起こしやすいこともあれば、高脂肪食の慢性給餌や、甲状腺機能低下症などの病気で起こることもあります。

ワンちゃんや猫ちゃんの肝臓ワンちゃんや猫ちゃんの肝臓は、人の手の形のように、先がいくつかの房に分れ(全部で6葉)、根本でくっついています。
その房の間に挟まれた場所(内側右葉と方形葉の間)に、肝臓からつながる胆嚢という袋がついています。
胆嚢は、肝臓で作られた胆汁という主に脂肪を分解する消化液をため、総胆管とうい管を通って必要に応じて十二指腸に分泌しています。
胆嚢粘液嚢腫は、この胆嚢の中にゼリー状に固まった胆汁が蓄積して、胆嚢炎を起こしたり、総胆管閉塞(総胆管が詰まり、胆汁が流れなくなる状態)を起こしてしまう病気です。

胆嚢粘液嚢腫から起こりうる症状総胆管が詰まると、胆汁が血液の中に逆流して全身を巡り、黄疸(体が黄色くなることで、特に白目の部分で目立ちます)を呈して吐き気と元気食欲不振がみられるようになり、さらに胆嚢炎から胆嚢壁が虚血壊死して胆嚢破裂を起こすと腹膜炎となって、発熱、腹部疼痛や全身の虚脱がみられることもあります。

胆嚢粘液嚢腫の診断血液検査で肝臓の一部の数値(ALP、GGT)が上がっていることや、閉塞を起こしているときは総ビリルビンという値が上がっていることが多いですが、確定はエコー検査で胆嚢の画像を見ることです。
胆嚢の中に、星形やキウイフルーツのような模様が見えるとき、この病気を強く疑います。

胆嚢粘液嚢腫の治療方法お薬の投与や低脂肪食による内科療法か、胆嚢を摘出したり、胆汁の排泄経路を変更する手術を行う外科療法になります。

胆嚢粘液嚢腫の内科療法ウルソデオキシコール酸(利胆剤)、S-アデノシルメチオニン(肝臓の代謝を助けるサプリメント)、抗生剤(ニューキノロン系、メトロニダゾール、ペニシリン系、セフェム系など)がありますが、効果がないケースも多くみられます。
特に、ウルソデオキシコール酸には胆汁排泄促進作用があり、完全に総胆管が詰まっている場合には推奨されない場合もあります。

胆嚢粘液嚢腫の外科手術外科手術の基本は胆嚢自体を取ってしまうことです。
胆汁がゼリー状になってしまう直接の原因が、胆嚢壁の中にある粘液分泌細胞から過剰に粘液が出てしまうことによるものと考えられていて、それを取ってしまえば液がゼリー状に固まらず、直接肝臓から十二指腸に流れてくれるという仕組みです。
ただし、炎症や腫瘍が伴っていて、すでに完全に総胆管が閉塞している場合は、胆嚢の流れを迂回変更するため、胆嚢や総胆管を十二指腸の別の場所につなげる手術が必要になることがあります。
もし胆嚢が破れ、胆汁がおなかの中に漏れ出てしまっている場合は、緊急におなかを開けて洗浄と必要な胆嚢の手術をしないといけません。

胆嚢粘液嚢腫の治療法の選択この病気は、必ずしも全員に症状が出るわけではなく、全く無症状のまま一生を過ごすワンちゃんも少なくありません。このため、治療方針の統一した見解がないのが現状です。どの段階でどの治療方法を選択するべきか、ということがはっきりと決まっていませんので、よくご相談の上、飼い主様と病院が一緒になって治療を進めていくことが大切です。

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