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子宮蓄膿症

どんな病気?子宮の中に膿がたまることによって様々な体の障害を起こす病気で、高齢の未避妊のワンちゃんに多い病気です。ネコちゃんにも多くはないですが発症します。ワンちゃんとネコちゃんでは生理が起こる仕組みや間隔、時期も異なるため、子宮蓄膿症の原理も異なると考えられていますが、ここではワンちゃんについて解説します。

ワンちゃんの生理は?ワンちゃんの生理は平均年に2回見られます。生理の症状で分かりやすいのは、陰部からの出血(発情出血)ですが、自分でなめとってしまうと出血がわかりにくいときもあります。他にも外陰部が腫脹したり乳房が張ったり、時には元気がなくなったり食欲が落ちる場合もあります。ワンちゃんの生理は人間と仕組みが違って、出血の後に排卵が起きます。具体的には出血が始まってから約7~10日後に雄を受け入れる行動が見られ、その2~3日後に排卵が起きて5日間くらいで卵子が受精能をなくしていきます(人間ではここで出血が見られます)。排卵した後の卵巣には、黄体という組織が残っていて、2か月くらいかけて黄体が退縮していきます。出血から雄の受け入れ可能な時期までを発情前期(7~10日間)、それから卵子が受精能をなくすまでを発情期(7~10日間)、黄体が残っている期間を発情後期(約2か月間)、次の発情出血までを無発情期(約4か月間)といいます。

ホルモンについて卵子と黄体からはそれぞれ別の女性ホルモンが出ています。このうちの黄体ホルモン(プロゲステロン)の作用には、子宮の内側の膜を増殖させたり、子宮頸管(子宮と膣のつなぎ目)を閉じたり、精子を受け入れるために免疫力を低下させる作用があります。いずれも妊娠を成立、維持させるためには大切な作用ですが、これが子宮に膿がたまってしまう最大の原因になります。どんなに清潔にしていても、環境中には様々な雑菌がいますので、抵抗力が落ちて菌が入りやすくなることと、子宮頸管が閉まることで、子宮内部に菌が増殖しやすくなります。2か月間もこの状態が続くので自分の力では菌を退治しきれず、子宮に膿がたまっていきます。子宮蓄膿症の発症は発情出血後から2~3か月目に多いのですが、その期間は黄体ホルモンが多く出ている時期にあたることが原因になっています。

子宮にたまった菌の毒素子宮にたまった菌の毒素によって、元気食欲の低下、嘔吐、下痢、腹部痛(お腹を丸めたり、震えたり、後ろ足を持ち上げるような症状)、水をたくさん飲んでおしっこをたくさんする(多飲多尿)などの症状が出ます。陰部から膿が出ているとわかりやすいですが、全く出ないでお腹が張ってくるような症状もみられます。重度になると、貧血、血小板減少、多臓器不全におちいり生命の危険性も出てきます。万が一子宮が破れてしまった場合は腹膜炎に進行し、急に虚脱する(ぐったりして動かなくなる)こともあります。

診断について診断は諸症状の有無、発情出血の時期と年齢を確認すること、触診で腹部痛や子宮の腫れを確認できるか、レントゲンやエコー検査で子宮が拡張しているか、血液検査で炎症の数値や白血球が上がっているかなどで行います。

治療の第一選択は?治療の第一選択は、卵巣子宮をたまった膿ごと手術で摘出することです。状態によって様々ですが、急激に症状が改善することもあり、早くて2~3日で退院できることもあります。膣内にはわずかに菌が残るため、退院後もしっかりと抗生剤を飲まないといけません。メリットは再発がないこと、急速に回復することが期待できることですが、全身麻酔での手術のリスクが伴います。他に、注射による内科療法もあります。日本ではまだ発売されていない注射薬で、根本の原因になっている黄体ホルモンの作用をブロックするお薬です。初日、2日目、7日目に注射をしますが、必ず抗生剤や点滴などの支持療法も必要です。副作用はまれで、安全なお薬です。治療効果は、80%くらいで反応があると言われていますが、子宮頸管を広げたり、子宮の動きをよくするお薬(プロスタグランジン)をごく低用量で併用することによって奏効率が上昇することも分かっています。リスクは少ないですが、効果がみられない場合もあることや、卵巣と子宮が残っていますので、いずれ(1~2年後に)再発する可能性も高く、全身麻酔が不可能な場合やどうしても子宮卵巣を残したい場合にのみ選択します。この治療の最大のメリットは次回の発情のタイミングで妊娠できる可能性があることです。4歳以下であれば五分五分の確率で妊娠が可能とされています。
予防は健康なうちに避妊手術をすることですが、病気ではない卵巣子宮を取り除くことに様々な意見がありますので、よくお考えになって決めていただくことが必要です。

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